前回に引き続き、収納王子コジマジックさんにお話をうかがいます。今回のテーマは「収育」、子どものお片づけについて。わが子にお片づけをどう教えていけばいいか、気になりますよね。
まずは、基本となる「片づけの順番」から考えていきましょう。わたしたち大人も、意外とその方法を知らないかもしれません……!
まずは大人から!お片づけの正しい順番を覚えよう
「片づけが苦手で子どもに教えられない」「どうしても部屋が散らかってしまう……」そんなママたちは少なくないようです。コジマジックさんが「収育」を始めようと思ったきっかけは?
コジマジックさん:
「”子どもたちがお片づけを学ぶ機会がない”というのが一番の理由でしょうか。お片づけって、誰もが一生やっていかなくちゃならないことなのに、しっかりと教わることってなかなかないですよね。ママやパパも、これでいいのかな?と心配しながら自己流で片づけている方が多いのではないかと思います。
また、現代はお片づけがしづらい時代でもあります。いまは何でも“ひとり1つ”の時代。モノがあふれているから、お片づけもそれだけ大変になってきているんです」
なるほど。子どもたちに収納方法を教えるのも大切だけど、まずは大人の私たちが正しいお片づけ方法を学ぶのが先かもしれませんね。
コジマジックさん:
「そうですね。でもね、片づけの方法って意外とシンプルなんですよ。ポイントはいくつかあるんですが、その中で特に大事なことは2つ。1つめは『いま“使っているモノ”をしまうこと』。もう1つは『お片づけは、まず“出す”ことから』です」
収納とは、「いま使っているモノをしまう」こと
収納って、「使わないモノをしまう」んじゃないんですか?
コジマジックさん:
「ふだん使っているモノをしまうのが”収納”なんです。でもみなさんたいてい、使わないモノを棚や引き出しに入れますよね。するとふだん使っているモノの置き場がなくなって、そこら辺にポイッて置いちゃいますね。その結果、お部屋はいつも散らかった状態……。だけど出ているのは“使っているモノ”だから、仕方がないと思ってそのままにしてしまうんです」
そう言われるとそうかも! いつも使うから出しっぱなしでもそれほど気に留めないですものね。
コジマジックさん:
「そうそう、だけど、片づかないお部屋っていうのは、ほとんどこのパターンに陥っているんですよ。収納とは、使うモノを使いやすく収めることです。使わないモノはいったん外に出して、空いた場所に“使っているモノ”をしまう、という方が理にかなっているんです」
片づけの順番は「出す⇒分ける⇒しまう」
使っているモノをしまう。これは初耳でした。目からウロコです。
そして次に片づけの順番ですね。ふつう片づけって「引き出しやクローゼットの中から、要らないモノを出す」と思うのですが、全部出しちゃうんですか?
コジマジックさん:
「そう、出しましょう! まずは普段よく使う引き出しなど、どこか1ヵ所を決め、全部出す。これが一番初めにすることです。自分が何を持っているか、同じモノをいくつも持っていないか、が一目でわかります。2番目に“使っているモノ”と“使っていないモノ”に分けます。そして3番目は、使っているモノだけをしまうんです。これが正しい3ステップ。あとは使っていないモノを、あえて目立つ場所(たとえば玄関とか)に置きます」
えっ? 玄関に置くんですか? ……邪魔です(笑)
コジマジックさん:
「邪魔ですよね?それが狙いなんです(笑)。出しっぱなしになっていると気になりますよね。すると“リサイクルショップに持っていこうかな”“フリマで売ってみようかな”と、次の行動ができるようになる。そのうちにお部屋の中は、使っているモノだけになるんです。スッキリして気持ちがいいですよ!」
子どもには「出す⇒戻す」の2ステップから
使っているモノだけに囲まれた生活……。本当に気持ちよさそうですね。すぐにチャレンジしたくなってきました! さて子どもたちにも、同じように教えていけばいいでしょうか?
コジマジックさん:
「保育園や幼稚園くらいの子どもには、まず“出したら、戻す”の2ステップから始めましょう。戻しやすいように、箱には片づけるアイテムの写真や絵を貼っておくと分かりやすいですね。小さな子どもにとって、分けるという行為は意外と難しいもの。その感覚を育てるはじめの一歩が“元あった場所に戻す”なんです」
写真や絵で示してあげたらスムーズにしまえそうです!子どものお片づけ感覚を育てるには、ママやパパのちょっとした手助けが必要なんですね。さて、子どもの「分ける」感覚を育てるのに有効な方法があるとのことですが?
コジマジックさん:
「それは、子ども自身に好きなモノを選ばせるということですね。例えばおもちゃがいっぱいになってしまったとき。『これはもう遊ばないでしょ』とママが勝手に処分するのではなく、どれを残したいか選んでもらいましょう。
好きなモノ順に順番をつけるのもおすすめ。好きなモノを意識することって、とっても大事なんです。モノを厳選し、大切にする気持ちが生まれます。そして成長したとき、“自分はどんなモノが好きなのか”という判断力がしっかりつくようになるんですね」
コジマジックさんに質問!キシログ読者のみなさんから
質問1:
「保育園の年少さんです。帰宅後、いろいろなおもちゃを出しては遊び、気づいたらお部屋がぐちゃぐちゃ……。つい“片づけなさい!”と大きい声を出してしまいます」
コジマジックさん:
「子どもって興味があっちこっちに行くから、いろんなおもちゃを出しちゃいますよね。ママがいちいち片づけていたら疲れてしまいます……。いっそのこと思いきり遊んで、寝る前に一気に片づけるようにしてみてはいかがでしょう。題して、寝る前5分のお片づけゲーム。『よし、今からお片づけするよ、よーいドン!』と競争すれば、子どもは意外と楽しんでやってくれるんですよね♪ ここで大事なのは、一緒に片づける親の姿を見せること。その姿って絶対残りますから、片づけって楽しいなという意識づけをしてあげましょう。これこそが収育なんです!」
質問2:
「どんどん増える子どもたちの絵や工作は、どのように保管すればいいでしょうか?」
コジマジックさん:
「子どもの力作は取っておきたいと思いがちですが、私のおすすめはやっぱりデジタル保存。まずは作った直後の一番きれいな状態を、子どもと一緒に撮影します。作品そのものは3ヵ月とか半年とか期間を決めて飾って、最後サヨナラするときに切れ端をちょっとだけ切り取って写真と一緒に保存。少しでも現物が残っているとさみしさも半減するでしょ。
わが子が一生懸命作ったモノ、処分しづらい気持ちもよく分かります。でもね、子ども自身は現物保存することにそれほどこだわっていなかったりするんです。写真に、きれいな作品&当時の子どもの笑顔が残っていればそれで十分だと思うんです。」
さいごに
収納&収育のプロ・コジマジックさんから、2回に渡ってたくさんのことを教えていただきました。
コジマジックさん:
「片づけのチカラを通じて“幸せに生きる力と知恵”を学ぶ『収育』。お部屋を心地よい空間に保つという“環境面の効果”はもちろんですが、自分のことは自分でするという自立心、他の人の気持ちに配慮するという思いやりの心も育みます。日本中の子どもたちが楽しくお片づけできるようになることが、私の夢であり目標です」
コジマジックさんが提唱する収育。こども収検「収納検定5級」は幼児向け、「4級」は小学生向けで、どちらもゲームや楽しいお話を織り込みながら知識を深めていく新感覚の検定です。
大人を対象にした3級&2級は、今回キシログで紹介した内容をより深く掘り下げて学ぶことができます。お片づけに対する考え方が変わり、お部屋だけでなく心もスッキリ整理できること間違いなしです。楽しみながら勉強して、お片づけ上手をめざしましょう!
収納検定について詳しくはこちら
―――収納王子コジマジック Profile
整理収納に“笑い”を取り入れたセミナーが話題で、多くの主婦の方々から支持を受ける温和なルックスと親しみやすい口調で年間200本以上の収納セミナーに出演。収納グッズ開発やモデルルームの収納コーディネートなど活動の場を広げ、2014年12月には「収育」を理念とする一般社団法人日本収納検定協会を設立。2015年10月からは「収検〜収納検定〜」を開催し、お片づけの楽しさと大切さを日本中の人々へ普及することに注力。
ホームページ http://shu-ken.or.jp/
ブログ http://ameblo.jp/kojimagazine/