ウイルスにも強い!ヒノキの抗ウイルス作用について調べてみました
大切な子どもや家族の健康を守るために、少しでも感染症を防ぎたいと思いますよね。厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」には、感染症を防ぐには、「病原体の付着や増殖を防ぐこと、感染経路を断つこと、予防接種を受けて感受性 のある状態(免疫を持っていない状態)をできる限り早く解消すること等が大切です。」*1と書かれています。
そこで、私たちが作っている家具の原材料であるヒノキやスギがもつ抗ウイルス作用について調べてみました。わかってきたことは、どうやらヒノキにはウイルスの感染力を低下させる力があるとのこと。早速、調べた内容をご紹介しますね。
ヒノキには、ウイルスの感染力を抑える力がある?
ウイルスがものに付着した時、その素材によってウイルスの増殖を抑えることができるかどうかが異なると言われています。
奈良県農林部が行った実験では、ヒノキやスギには「ウイルスの不活化」の効果について調査が行われていました。「ウイルスの不活化」とは、ウイルスの死滅を指します。つまりは、感染力を低下させる力、抑える力があるということです。
実験結果は「奈良県産のスギ材やヒノキ材に接触すると、感染力のあるインフルエンザウイルスの数が減少することが明らかになりました」*2と報告されており、比較検証したプラスチックや鉄といった素材に比べて、2倍〜4倍の抗ウイルスの効果があるとわかっています。
つまりヒノキ材やスギ材には、ウイルスの感染拡大を軽減させる力があるということです。特に多くの人が触れる手すりや壁などに使用すると効果があるのでは、とも考えられています。家の中でもダイニングテーブルやベッド等、毎日触れる家具にヒノキ材を取り入れることは、ウイルス対策の一つになりえるかもしれません。
ヒノキはウイルスをすばやく吸収&乾燥させる?
ウイルスが感染拡大する時、たくさんの人が触れるものが「伝染源」になってしまうケースがあります。
小学生の学童が普段触れ得る材料を対象に解析した、日本環境感染学会総会の報告によると、「ヒノキ材など吸水性が強く汚染部位が乾燥しやすいものではウイルス不活化までの時間が早く、伝染源としての役割は小さいと考えられる。」*3と実証されています。
この調査では、ヒノキの他に、ペットボトル、ゴム板、ステンレス取っ手、運動場砂、ランドセルなどが用いらています。その中でもヒノキ材はウイルス液をすばやく吸収し、汚染5分後には目視で表面は乾燥し、ウイルスの感染性も著しく低下したとのこと。
一般的には、ウイルスの伝播力と汚染部位の乾燥は大きく関わると言われているため、ヒノキは伝染源となる可能性が低い上に、前出の実験結果と同じく感染力を抑える力があると実証されていました。
からだに嬉しいヒノキのいろいろな効果
ヒノキには他にも、抗菌効果や紫外線を和らげる力、呼吸を整え集中力を高めるリラックス効果なども科学的に証明されています。
人のからだに優しいだけでなく、ウイルスにも強いとより安心ですよね。感染症が心配になる時期だからこそ、家の中の環境をあらためて考えてみると良いかもしれません。決してドカン!と効果があるわけではありませんが、お買いものに迷った時の検討材料の一つとして覚えておいていただけると嬉しいです。
引用元:
*1 厚生労働省(2018)「保育所における感染症対策ガイドライン」
<https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf>
*2 奈良県農林部奈良の木ブランド課(2016)「平成28年度『奈良の木で健康になる』実証事業」
<http://www.pref.nara.jp/secure/125932/04%20virusfukasseika.pdf>
*3 辻本 和子・西出 充・森下 順子・吉田 穣・小山 一(2013)「学童の生活環境を汚染したウイルスの 感染性の時間変化の解析」
<http://www.shinai-u.ac.jp/toshokan/shinai%20kiyou/HP%20Kiyou/KiyouVol.53/tsujimoto-53.pdf>