この季節の困りもの、スギ花粉。花粉症のひどい方にとっては天敵ですよね。
そもそも、日本にはどうしてこんなにたくさんの杉の木が生えているのでしょうか。「全部伐(き)ってしまえばいいのに、どうして伐らないの?」と思う方も多いかもしれませんね。
どうして杉の木を伐らないの?
杉の木を伐らない理由は、「伐っても使われない」からなのです。
日本中に杉やひのきが植えられたのは、戦後まもない頃。戦禍によって足りなくなってしまった建築材を補おうと、全国各地で植林が行われました。
しかし、木々が育つ50〜60年の間に、コンクリートなどの建築材が台頭して木材の需要は減り、また海外からの安価な輸入材が増えたことで、日本の杉は使われずに残ってしまったというわけです。
花粉を飛ばすのは、樹齢30〜60年のスギ
下のグラフをご覧ください。花粉を飛ばす杉やひのきは、樹齢30年から60年。本来ならば、建築材・家具材として使われるはずの樹齢です。
「使いごろ」の木々たちが伐採されずに森に残されているため、花粉をたくさん飛ばしている、というのが現状です。
出典:林野庁HP
花粉を減らす第一歩は、「もっと杉の木を使う」こと!
花粉症対策の薬やサプリなど、巷にはたくさんの商品があふれています。ですが、花粉を抑える最も効果的な対策は、杉の木をもっと積極的に使うこと!伐採して利用することで杉の木が減り、花粉も減っていきます。
わたしたちキシルも、杉を使った家具をたくさん製造しています。花粉を減らす第一歩として、暮らしの中に杉材を取り入れてみませんか?
木材としてのスギは、日本の“隠れた財産”?
スギの学名、“Cryptomeria Japonica”は“日本の隠れた財産”という意味で、古くから日本で使われてきた木材です。
森で立っているときには、その花粉によって多くの人を悩ませてしまうスギですが、ひとたび木材として生まれ変わると、とっても人に優しい素材なんですよ。
天然の調湿作用
細胞に多くの空気を含んだ杉材は、天然の調湿作用を持っています。
湿度が高いときには空気中の水分を吸収し、低いときには放出してくれます。夏は多湿、冬は乾燥しがちな日本で重宝されてきたのも頷けますね。
世界遺産である奈良の「正倉院」でも、保存用の箱には杉材が使われているのだとか。1000年以上も綺麗な状態で、宝物を保管できたのは、他ならぬスギ材の調湿作用によるものとも言われています。
軽くて柔らかい
空気を多く含むスギは、「軽さ」も特徴として挙げられます。断熱効果も高く、古くから家の柱、床、壁など、あらゆる場所に使われてきました。
柔らかさもあるため加工がしやすく、建材はもとより、家具やお弁当箱など、暮らしの中のさまざまな場面で活躍できる木材でもあるんです。
伸びやかで美しい木目
木目のコントラストがはっきりしているのも、杉材の特徴です。のびのびとした表情は、木の家具らしい自然の風合いをたっぷりと楽しめます。
真っ直ぐに伸びる美しい木目は、海外からも人気を集めています。
木材になれば、花粉も安心!
お客さまから「花粉症なんですが、スギの家具を使っても大丈夫ですか?」と聞かれることもしばしば。杉の板に花粉は含まれていませんので、ご安心くださいね。
スギの木材としての幅広い可能性を知ると、ちょっぴり印象が変わりますよね。
杉を暮らしに取り入れよう!キシルがつくる「杉の家具」
キシルの家具の多くはひのきを使っていますが、適材適所で杉材も積極的に使っています。
杉を使ったキシルの家具の一部をご紹介します!
1.「シェルフ C」シリーズ
まずご紹介するのは、杉の無垢材だけでできた本棚、「シェルフ C」シリーズ。ボール紙や合板などを一切使用せず、背板まで無垢100%にこだわっています。
杉材の美しい木目や軽さ、調湿作用をふんだんに活かした、キシルならではのつくりは、本にとって最適な環境。杉をたっぷり使っているので、すがすがしい香りも楽しむことができますよ。
棚板は通常より厚めの3cm。重たい参考書や専門書を入れても歪んたり、たわんだりすることなく、本を安心して収納できる「一生もの」の本棚です。
後ろ姿まで美しいので、壁付けとしてはもちろん、こんな風に間仕切りとして使うのもオススメです。
サイズは3種類。おうちのジャストサイズを見つけてくださいね。
2. 「4本脚デスク」シリーズ
キシルの家具についているほとんどの引き出しは、底板に杉材を使用しています。
引き出しのついている家具の中から、キシルのロングセラー、「4本脚デスク」シリーズをピックアップ。
シンプルで直線的なデザインは、上質な日本の木の美しさを引き立ててくれます。
底板に杉を使った引き出しは、開くたびに心地よい木の香りが広がります。
杉材の底板は、乾燥する冬にはカタカタと左右に動かすことができますが、夏になると湿気を吸って膨らみ、ピチッと動かなくなります。
引き出しの中に湿気がこもらないよう、天然の調湿作用を活かしています。
3.キッチンボード&キッチンカウンター
キシルのキッチン収納シリーズには、背板と引き出しの底板に、杉材を使っています。
普段は目につかない部分まで無垢材でできたキッチン収納は、ちょっぴり珍しい自慢のつくりです。
実は「天然木」という表記のある家具でも、表面に薄い木のシートを貼っただけのものや、目立たない箇所に合板を使っているものは少なくありません。
お店に来られるお客様にも、「すべてが木で出来たキッチン収納を探していたんです!」と、喜んでいただけることが多い商品です。
加えて、食品衛生試験に適合した植物性オイルの塗装で仕上げているため、人に優しく、食事シーンで使う収納家具としても安心です。
キシルは、「植林木」を使ったものづくりをしています
いま現在、日本の山には、使いどきの木が余っている状態。そんな状況を「もったいない!」と感じたキシルは、創業以来20年間、日本の「植林木」を使ったものづくりを続けています。
人が育てる「植林木」は、サステナブルな素材
あまり知られてはいませんが、「植林木」は、人の手で生み出すことのできる唯一の資源であり、とってもサステナブルな素材です。SDGsの目標の1つとしても、植林木の増加が掲げられています。
人の手で植え、育て、計画的に使用することで、自然環境を壊すことのない、すこやかな森づくりのサイクルが生まれます。
豊かな森は、栄養に満ちた土壌を育み、その栄養は川に溶け出して海へ運ばれます。それらは海の生き物の暮らしをも豊かにして、命の循環が続いていきます。
日本で育った植林木を使うことは、花粉症の解決につながるだけではなく、豊かな自然が循環する、より良い未来にも繋がっていくのです。
植林木=“GOOD WOOD”をもっと使おう!
地球にとって“GOOD”な植林木を、キシルでは「GOOD WOOD」と呼んでいます。
自然も、人も、すこやかに生きる未来へ向けて、世の中に流通しているたくさんの木製品から、誰でも簡単に、地球に“GOOD”な選択ができるように。
キシルはこれまでもこれからも、植林木を使ったものづくりや、植林木のある暮らし、「GOOD WOOD ACTION」を広めていきます。
「花粉の少ない森づくり運動」に参加しました
2013年にキシルは、東京都の取り組み「花粉の少ない森づくり運動」にも参加しました。1500円の寄付で杉を1本伐採し、花粉の少ない杉に植え替えを行うという取り組みです。
キシルの杉を使った商品の打ち上げの一部の寄付を続け、100本分の植え替えが可能となる15万円を寄付いたしました。
出典:東京都産業労働局
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- ・東京都「花粉の少ない森づくり運動」